なにかが見えてくる
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===== ☆ =============================================== ☆ No. 8 ===
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    ☆★☆           -- なにかが見えてくるかも --
   ☆★★☆                   by Mat
- ☆☆☆☆☆ --------------------------------------- 2010/08/10 ☆ --

日頃の雑感を綴っています。気の向いたときに、思ったことを、おじさんにし
ゃべらせます。読むに耐えうるかどうか心配ですが、まあ軽い気持ちで読んで
みてください。全く時間の無駄ということもないかもしれません。ひょっとし
たら、なにかが見えてくるかもしれません。

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**  フルスイング  **
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おじさんは休暇を利用して、家族と九州旅行に出かけた。新幹線で福岡まで行
き、そこからレンタカーを借りて別府まで行き、温泉につかってのんびり静養
しようと計画を立てた。せっかく福岡まで来たのだから、別府まで行ってしま
う前に、福岡の太宰府天満宮にお参りすることにした。

大宰府に着き、天満宮近くの駐車場に車を止め外に出ると、駐車場脇のちょう
どいい所にお土産物屋さんがあったので、そこでトイレを借りることにした。
トイレを使わせてもらったので、一応義理にでも土産物を見ようと少し店内を
うろうろしたが、何も買うつもりはなかった。わざわざ太宰府まで土産物を買
いに来たのではない。お参りに来たのだ。学業成就を願ってお参りに来たのだ。
学業成就といっても子どもの学業成就である。おじさんにはもう遅すぎる。"
It is never too late to learn." ということばもあるが、やはりおじさんに
は遅すぎる。おじさんならさしずめぼけ封じの願かけといったところが適当だ
ろう。いずれにしてもお参りが先だ。土産物は買うにしてもお参りの後だ、と
店を出た。

すると、駐車場より少し高くなった広い土地に、公共の建物らしい大きな建物
が建っているのが目に入った。そしてその土地を囲むフェンスに大きく「筑紫
台高等学校」と書かれていた。どこかで聞いたことのある名前だ。何とか思い
出そうと記憶をたどっていると、すぐ横に、正確な文句は忘れたが、「感動の
ドラマ フルスイング」といったような内容の垂れ幕が目に入った。「あっ、
そうだ、あのドラマだ」 おじさんは以前にNHKで放送していたあの感動的な
ドラマをすぐに思い出した。それは「フルスイング」という題名のドラマで、
何週かにわたって放送されていた。約30年間プロ野球コーチとして多くの有
名選手を育て、多くの球団から引く手数多だった高畠導宏さんが球団からの誘
いを断り、高校という教育現場で自分のもう一つの夢を目指して動き出す。そ
れは若者を率いて甲子園へ行き、全国制覇を成し遂げることであった。しかし、
プロアマ協定により2年間は高校野球の指導はできない。これを承知の上、社
会科の教師として毎日教育に体当たりしていた。そして、とうとうあと1年で
野球の指導ができるという時になって、残酷なことに、医者からガンを宣告さ
れる。余命半年。60歳のことである。何事にも一生懸命に気力で立ち向かう
高畠さんの姿に、教師も生徒も感銘を受ける。残念ながら、結局高校野球の指
導ができないままこの世を去るが、生徒たちの心にはいつまでも大きな存在と
して残っていくことだろう。高畠さんの生き方はまさしく「フルスイング(思
いっきり大きくバットを振ること)」そのものだとおじさんは思うのである。

しかし、おじさんはこのドラマのすべてを見ることができなかったので、再放
送はないかと調べていると、ドラマのもとになった本を見つけた。門田隆将さ
んの「甲子園への遺言」という本で、「伝説の打撃コーチ 高畠導宏の生涯」
という副題がついている。おじさんはさっそく図書館で借りて読むことにした。
その中で高畠さんが生前に言っておられた「伸びる人の共通点」というものが
紹介されていた。

伸びる人の共通点
1.素直であること
2.好奇心旺盛であること
3.忍耐力があり、あきらめないこと
4.準備を怠らないこと
5.几帳面であること
6.気配りができること
7.夢を持ち、目標を高く設定することができること

おじさんはそれを見て、自分はどうなのか、自己診断してみることにした。

1.おじさんは若い頃から人に対してはあまり素直ではない。人の言動には必
ず「ちょっと待てよ」と一度は疑問を投げかける。どんなことでも人の言うこ
とを絶対に鵜呑みにはしない。必ず自分で考え、自分なりの結論を出す。もち
ろん Yes の場合もあれば、No の場合もある。いずれにせよ、自分で出した結
論である。しかし、これは素直でないということではない。何事にもまず疑問
を持ち、鵜呑みにはしないということである。何事も鵜呑みにせず、自分なり
に考察を加え、自分なりの判断を下す姿勢は、真面目で、真っすぐで、素直で
ある。自分の気持ちに対して素直であるから、自分の気の済むまで考えるので
ある。

2.おじさんは好奇心が人一倍旺盛である。何でも知りたい、何でも自分でや
ってみたい、常にそういう気持ちである。どうしても分からないこと、どうし
てもできないことは仕方がないとして、自分に可能な限りの手を尽くして知ろ
うとする、やろうとする。最近の若者は「自分に可能な限りの手を尽くして」
という部分ができていないと思う。まだまだ手を尽くしていないのに、すぐに、
もう無理だ、と投げ出してしまう。そういう若者が増えているように思う。そ
れにひきかえ、おじさんの好奇心はとどまるところを知らない。実際にはおじ
さんがいくら手を尽くしても知りえないこと、成しえないことでも、想像力と
いう手を尽くして、どんどん好奇心を膨らませていくのである。

3.おじさんは忍耐力があり、諦めることもまずない。忍耐力がありすぎて、
必要以上に耐えすぎてしまうというところがある。耐える必要のない理不尽な
事柄でも最後まで耐え切って、その後で初めて、おかしいと思う点を指摘し、
批判する。途中で文句を言うのはおじさんの性に合わないようだ。これは諦め
ないということと通じているように思う。どんなことでも途中で諦めて、投げ
出してしまうのは嫌なのだ。どのような結果に終わろうと、最後まで自分にで
きる限りの努力を払い、自分の納得のいくまでやり抜くのだ。結果は結果にす
ぎない。そこまでいく過程が大事なのだ。おじさんはそう思う。

4.おじさんは準備周到である。何をするにしても前もってきちんと物心とも
準備を忘れない。かなり余裕をもって準備を始め、余裕をもって準備を終える。
そして、本番まで少し寝かすのである。寝かせている間に、抜けているものが
見つかることもある。それくらい周到である。それでも直前になって、何か抜
けていることに気づき、バタバタすることもある。いくら周到に準備をしても
こうなのだから、周到にして周到すぎるということは決してない。おじさんも
このことを肝に銘じて、さらに余裕をもって物心ともに準備を進め事に当たろ
うと思う。

5.おじさんはとても几帳面である。几帳面すぎると言ってもいい。もう少し
いい加減に物事を考え、行動してもいいのではないかと思うほどである。几帳
面であるから、何であっても考え行動するのに時間がかかる。人一倍時間がか
かる。丁寧できちんとしているのでいいのだが、多くのことを同時にできない。
一つひとつ丁寧にきちんと片づけていくというやり方でしかできない。何事も
その調子であるから、何をするにも時間がかかる。しかし、それがおじさんな
のだから仕方がない。それを半世紀以上も続けてきたのだから今更どうしよう
もない。几帳面なのはいいが、「過ぎたるはなお及ばざるが如し(Too much 
is as bad as too little.)」で、几帳面すぎるのは少し直すよう心がけたほ
うがいいと言われたこともあるが、できなかった。それがおじさんなのだ。

6.気配りとなるとどうだろうか。普通の気配りはできると思う。しかし、細
かい気配りとなると、うう〜ん、どうだろうか。女性のような(女性が皆そう
だというわけではないが)細かい気配りは苦手である。悪気があるわけではな
い。ただ、細かいところまで気が回らないだけのことである。男だから(男が
皆そうだというわけではないが)その辺は鈍感である。だけど、人のことを思
う気持ちは人一倍持っている。人のことを思うがあまり、自分を抑えて、時に
は自分を犠牲にすることすらある。自分の欲求より人の欲求を優先させる。そ
のため自分の欲求が前面に出ることはない。常に一歩下がったところにある。
まず人、そして自分。おじさんにはそういうところがある。

7.夢はいっぱいある。やりたいことは山ほどある。目標に向かって精一杯努
力をする。おじさんは真面目であるから努力を怠らない。しかし、目標が達成
できているかというと、努力はするものの、現実にはなかなか難しいものがあ
る。努力が足りないと言われればそれまでだが、目標に向かってがんばる姿勢
には尊いものがある。目標を達成できるに越したことはないが、達成できたか
否かより、目標に向かって最大限の努力を払うことが大事なのである。「目標
を高く設定できること」ということで、高畠さんもそういうことを言っている
のだろう。低い目標なら簡単に達成できる。達成するのが難しい高い目標に向
かって常に努力を続ける。その姿勢が大切なのだ。すると、自然と目標に達す
るものだ。

さて、おじさんは自己診断を終え、ふと考えた。自分は高畠さんの言う「伸び
る人の共通点」を満たしているのだろうか。自分をよーく見つめてみると、胸
を張って満たしているとは言えないが、満たしていないということでもない。
ある程度は、少なくとも半分以上は当てはまっているのではないかと思う。そ
れにしても中途半端である。中途半端な満たし方である。だから、伸びる度合
いもそれに応じて中途半端な伸び方しかできなかったのだろう。伸びていない
わけでもないが、すごく伸びたというわけでもない。やはり中途半端である。
しかし、おじさんはそれなりに生きている。それなりに一生懸命生きている。
精一杯自分の人生を生きている。それでいいではないか。おじさんはこれから
も(この先あまり長くないが)残された人生を精一杯生きていこうと気持ちを
新たにするのだった。

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