なにかが見えてくる
おじさんの戯言 (たわごと)
十戒

先日、おじさんはボーイスカウトの入隊式と上進式に参加した。もちろん、おじさんがこの年になってボーイスカウトに入隊するわけではない。子どもたちの入隊式と上進式に加えて、指導者の任命式も同時に行なわれた。カトリック教会を本拠地として活動している団なので、式の後、神父さんからのお話があった。そのお話は、心から子どもたちの健全な成長を願っている神父さんのお気持ちが聞く者の心にふつふつと伝わってくるものだった。

神父さんは十戒のお話をされた。十の戒めのうち、子どもたちには特に4〜8の戒めを伝えたいとおっしゃった。その中でも4番目の「父母を敬いなさい」ということばは非常に大事なことばであるとおっしゃったとき、おじさんは以前に、仏教の十善戒とキリスト教の十戒を比べて書いたことを思い出した。確かあの時に言及した十戒では、5番目に「父母を敬いなさい」ということばがあったように思った。それでおじさんは家に帰って早速調べてみた。すると、そのあたりのことがウィキペディアに次のような表で表されていた。

Division of the Ten Commandments by religion/denomination
Commandment Jewish (Talmudic) Anglican, Reformed, other Christian Orthodox Catholic, Lutheran
1 I am the Lord your God. 1 preface 1 1
2 You shall have no other gods before me. 2 1
3 You shall not make for yourself an idol. 2 2
4 You shall not make wrongful use of the name of your God. 3 3 3 2
5 Remember the Sabbath and keep it holy. 4 4 4 3
6 Honor your father and mother. 5 5 5 4
7 You shall not murder.* 6 6 6 5
8 You shall not commit adultery. 7 7 7 6
9 You shall not steal. 8 8 8 7
10 You shall not bear false witness against your neighbor. 9 9 9 8
11 You shall not covet your neighbor's wife. 10 10 10 9
12 You shall not covet anything that belongs to your neighbor. 10
* The Roman Catholic Church uses the translation "kill" (less specific and more inclusive) instead of "murder."

宗派によってこのように12の戒め(実際には、Exodus 20(出エジプト記20章) には全部で14〜15の戒めがあるようだが...)のくくり方が違うだけのことのようである。1〜3を1つにしてしまうか、2つにしてしまうか、11と12を1つにするか、2つにするか、の違いのようだ。

さて、そんなことより、神父さんはどのようなお話をされたのか。おじさんは記憶力に全く自信はないが、何とか思い起こしながら、要約してみることにした。

「十戒というものについてお話します。十戒とは、我々が人として生きていく際に心に刻んでおくべき十の戒めについて書かれたものです。1つ目から3つ目までは神と人との関わりについて書かれています。また、9、10は皆さんにはまだ早いと思いますので、今は4つ目から8つ目についてお話したいと思います。

4つ目は、父母を敬いなさいと書かれています。まずは父母を敬うことが何より一番大切なのです。皆さんを愛情をもって大切に育ててくれたということだけでなく、それよりもなによりも、お父さんお母さんがいなければ皆さんは今この世に存在しないのです。それほどお父さんお母さんは皆さんにとって大きな意味を持つ存在なのです。そのお父さんお母さんを敬うことからまずすべてが始まるのです。

5つ目は、殺してはいけないと書かれています。(注:カトリックでは murder よりもっと広い意味で使われる kill を訳語として当てている。)殺してはいけないというのは、人はもちろんのこと、虫や動物や植物など、この世に生きとし生けるものすべてを殺してはいけないのです。死に至らせなくても、傷つけることもいけません。気持ちを傷つけることもいけません。それは精神的に殺すことにつながります。人の人格を否定すると、その人のすべてをなきものにすることになります。ですから、絶対に殺さないでください。傷つけないでください。なきものにしないでください。それから、もちろん自殺もいけません。日本では、自分の命だから自分でどうしようといいではないかという考えが一部でありますが、神様から頂いた命、お父さんお母さんから頂いた命を、神様に召されるまで大事にしてください。粗末にしないでください。

6つ目は、姦淫してはいけないと書かれています。これは皆さんにはまだ少し難しいでしょうが、言いかえれば、不誠実なことはしてはいけないということです。皆さんはこれから誠実な生き方をしてください。誠実な気持ちで毎日を送ってください。

7つ目は、盗んではいけないと書かれています。人のものに手を出してはいけません。自分のものを大切にするのと同じように、人のものも大切にしてあげてください。

8つ目は、嘘をついてはいけないと書かれています。どんなときも決して嘘をついてはいけません。日本には嘘も方便ということばがあって、時と場合によっては害のない小さな嘘ならいいという考えもありますが、嘘つきは泥棒の始まりということばもあることを忘れてはいけません。子どもの頃から嘘をつくことを悪として厳に戒めているのです。神様の前では嘘も方便などということばは認められません。決して嘘はつかないでください。どんなときも正直でいてください。誰にも恥じない正直な、誠実な生き方をしてください。神様はそれを望んでおられます。」

神父さんはそう話されると、両手を大きく広げ、子どもたちを祝福された。それを見て、おじさんも心が洗われた気持ちになった。
(2009)


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